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本『われら銀河をググるべきや』

われら銀河をググるべきや (ハヤカワ新書juice)

『われら銀河をググるべきや』
著 新城 カズマ
ハヤカワ新書juice

SF作家、新城カズマが、グーグル・ブック検索の著作権問題を
きっかけに、そもそも著作権って? ベースとなってる法体系って?
グーグルって無料じゃないよね、検索することで“情報のやりとり”って
いう対価を我々は払っているじゃないか、
電子書籍時代の“絶版”って?
“私的利用”や“所有”の概念も変わるよね?
と幅広い文化論を展開。

いや、これ、すごくおもしろい。
元が会話形式で書かれたブログに書き下ろしを加えたものなので、
読みやすいけど、話も飛ぶ飛ぶ。本来はリンクされたニュース記事や
ブログエントリーも含めて理解すべきものなんだけど、
その軽妙な語り口の一方で、すごく重要な話がいっぱいでてくる。

グーグル×著作権問題も、別の次元から眺めると、
こんな切り口があるのかとびっくり。
ただでさえ、わかりにくくて退屈な著作権問題も、
情報のあり方がまったく変わっちゃう岐路にいるのかもね、
って話にまで展開する。

電子書籍にはいろいろ期待することも多いんだけど、
電子書籍だけが出版の未来を救うみたいな考え方もおかしいよね
と思っていたところなので、
本がデジタル化するってどういう意味があるのか
つっこんで考えるきっかけになりそう。

◆読書メモ

『ミステリは人間を書けてない』式のことを言う人がいたりして、
新城はほんとにゲンナリしちゃうんだよ。モノのように人間を扱うから
ダメなんじゃなくて、そこが長所なんだってば。
人間という存在を、ようやく単なるモノとして描けるまでに
発達したのが近代ミステリという手法なのに!

ちなみに近代文学は人間を内面のある主体として書くのに適した
手法だし、SFは人間&文明全体を接続法の塊として描く方向へと
素晴らしく進化してるし……

「その論法でいくと、ライトノベルは何なんでしょうか?」
「それはもちろん、人間存在をキャラとして描くよう
に発達した一手法ですよ」

情報は決して無料になったんじゃないんです……
未だかつて無料だったことはないし、これからも無料じゃないんです
……一見無料で情報を入手してるユーザーたちは、
間違いなく『何か』を『どこか』に支払ってるんですよ……
ただ、その『何か』は直接的な料金じゃないし『どこか』というのは
情報を作っている人の懐じゃないかもしれないっていうだけで。

『絶版』と『品切れ』と『重版未定』の違いは何なのかとか

ぜひ国内の出版社の皆様には個々の書籍ではなく、
書物の内容の繋がり具合を……それらが醸し出す
壮大な網目模様に注目していただきたいと思うんです。
ウンベルト・エーコも言ってることですが、『あらゆる書物は
隣の書物とひそひそ話をしてる』んです。
単体の書物ではなくて、総体としてのショモツ。
個々の読者ではなくて巨大なコミュニティとしてのドクシャ。
それこそが成果物=商品であり、有望な市場なんだと思います。

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