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本『女ことばはどこへ消えたか?』

女ことばはどこへ消えたか? (光文社新書)

『女ことばはどこへ消えたか?』
著 小林千草
光文社新書

100年前の夏目漱石『三四郎』の女ことば、
200年前の『浮世風呂』の女ことば
現代女子学生の言葉をそれぞれ分析、その変遷を探る。

『三四郎』では語尾の「~わ」、「~てよ」、「~って」、「~こと」
などの使い分けに、微妙な女心が反映されていたことを詳しく分析。
「よくってよ、知らないわ」は明治時代の女学生の流行語だそうで
ずっと肯定の意味だと思っていたら、“甘えを含んだ拒絶”なのだと。
「よくって?」と聞かれて「よくってよ」と答えるのが元で、
「~しなくても、よくってよ」という反発、拒絶へ変化している。

現代の私たちから聞くと女らしく聞こえるけど、
当時は本当に流行語として使われてたんだろうな。
(『吾輩は猫である』から「あらいやだ。よくってよ。知らないわ。」
という例が出てくる。)

室町時代の女房ことば→江戸時代のお女中ことば、お屋敷ことば
→明治時代の山の手ことばへと、上から下へ女ことばが伝播。
(つまり上流階級の言葉を下々の者があら素敵と真似したわけだ。)

女ことばは戦後あたりまではまだ残っていて、
小津安二郎の映画などでは見ることができる。
私はここにすごく興味があって、昔の映画だと、
女性や子供のイントネーションやしゃべりかたの速さも違う。
いったいこれがどう変化していったのか知りたかったのだが、
そこらへんには全く触れていなくて残念。

現代の女性たちは男女平等の意識で育っているので、
男ことば、女ことばの差がなく、
むしろ男っぽい言葉遣いを積極的に使っている。
(ここの例として、2001年の調査結果が使われているんだけど、
「やっぱ」、「きれかった」、「ちげーよ」、「ちがくて」とか
今ではすでに古い感じがする。)

大学の先生の文章なので、全体的にお勉強感が強い。
女ことばがエセお嬢様言葉やニューハーフの言葉に残っているとか、
女らしい女ことばが存在したから、歌舞伎では男が演じようと、
発話者は女であるという認識が成り立ったとか、
もう少し、深く考察してほしかった指摘もちらほら。

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