« 本『ゆるす言葉』 | トップページ | 本『いちご同盟』 »

本『怒らないこと』

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)

『怒らないこと 役立つ初期仏教法話1』
著 アルボムッレ・スマナサーラ
サンガ新書

ダライ・ラマの『ゆるす言葉』とセット読み。
チベット仏教、スリランカ上座仏教(テーラワーダ仏教)という違いはあるが、
どちらも仏教なので、同じことを言っている。
「怒りがまっ先に破壊するのは自分自身である」と。

こちらのほうが、「怒りの治め方」が書いてあってやや実践的。
まず、私たちが怒るのは「自分は正しい」と思うから。
「私が正しくて相手方が間違っている」から怒る。
でも人間は完全ではなく、「正しい怒り」など存在しない。

「どんな怒りでも、正当化することはできません。
我々はよく「怒るのは当たり前だ」などと言いますが、
まったく当たり前ではないのです。」

怒りは「抑えたり」、「我慢する」のではなく、
まず、自分の心の中の「怒り」に気づくこと。

「怒りが生まれたら、「あ、怒りだ。怒りだ。これは怒りの感情だ」
とすぐ自分を観てください。怒りそのものを観察し、勉強してみてください。
「今この瞬間、私は気持ちが悪い。これは怒りの感情だ。
ということは今、私は怒っているんだ」と、外に向いている自分の目を、
すぐに内に向けてください。
そうすると、怒りは生まれたその瞬間で消えてしまうはずです。」

たぶんに宗教的な本なので、
エゴを捨てろとか、殺される瞬間ですら怒るなとか、
お釈迦様じゃないので無理ですっという例えも載っているが、
怒って不幸になるのは自分であり、
怒りの記憶を何度も反芻しても、自分の心が暗い感情に支配されるだけで、
怒らせた相手はそれを覚えてもいないとか、納得できる話も。
(古代インド語であるパーリ語では、
「怒り」(vera)は「暗い感情」(dosa)から生まれるんだそうだ。
ダーク・サイドね。)

「笑えば怒りが消える」とか、ちょっと自己啓発っぽいところもあるのですが、
オウムなんかもそうだったと思うけど、
自己啓発セミナーって、たぶん仏教の考え方をアレンジしてるんだろうね。
考え方はいろいろ興味深いので、仏教ってちゃんと勉強してみたい。

◆読書メモ

まっ先に破壊するのは自分です。自分を破壊して、
それで他人も破壊していくのです。世の中の破壊の原因は、怒りなのです。

「怒るのも、愛情をつくるのも、その個人の勝手である」ということを、
まず理解してください。
怒るのは誰のせいでもありません。「怒るのは私のせい」なのです。

じつは「言葉は正しくないかもしれません」ではなくて、
「言葉は正しくない」のです。言葉は不完全ですから、
完全に正しいということはあり得ません。
その言葉を、不完全な我々が精一杯に選んで話したところで、
これまた不完全な相手にうまく伝わる保証など、どこにもないのです。

精一杯努力するのはべつに悪いことではなく、むしろ良いことです。
でも、それに完全な結果を求めるのは間違っています。
自分の都合のよい結果を求めるのは、人間の途轍もない無知です。
世界はあなたの都合など知ったことではありません。
「自分は完全ではないし、他人にもけっして完全な結果を求めない」
という思考が、この世の中で我々が落ち着いて生きていられる秘訣です。
私も、他人も、誰も完全ではありません。
「完璧にうまくいく」ということは、あり得ないのです。

仏教でも、怒りを火にたとえています。
自分のからだに火をつけたら、触れるものすべてに火をつけて
破壊することができます。でも、その前に何が起きますか?
まず自分が燃えているのです。このことからわかるように、
怒りには何かを破壊する力がありますが、
何よりも先に破壊されてしまうのは自分なのです。

ある人がいろいろな色の絵の具を持ってきて、
空に絵を描こうとする話です。
「この空にいろいろな色で絵を描いて、色で染めてしまおう。
好き放題、空で絵を描いてやるぞ」と思う人がいたとしても、
空に絵を描けるでしょうか? ただ本人の手が汚れるだけですね。
これを逆に考えると、「人からどんなことを言われても、
私は空のような心でいます」と決めている人の心には、
誰も絵を描くことはできないということです。
その絵というのはつまり、怒りのことなのです。
「人が優しい言葉をしゃべっても、きつい言葉をしゃべっても、
あの五つの中のどの言葉を言われても、落ち着いているぞ」
という人間を目指してください。

「怒るのは、最低で無知な人である」
「怒るのは、人間性を捨てることだ」ということを理解してください。
「怒っている自分には、理解力も合理性も客観性も何もないのだ」
ということを心の底から受け止めてください。
それができるようになると、もう怒れません。
努力して怒りを抑えこむのではないのです。
自分の心の怒りに気づいたら、怒れなくなってしまうのです。

人間は、自分がやるべきことをきちんと精一杯やれば、
それでいいのです。他人との勝ち負けなど、一切考える必要はありません。

「怒り」は「負けた」と同じことです。負けると悔しいし、悲しいし、
楽しくはないでしょう? つまり不幸を味わっているのです。
そして不幸を味わうことは、自分の人生に負けたということでもあるのです。
反対に、怒るべきことがいっぱい出ているのに怒らない場合、
その人は確実に勝っているのです。
いつもの毎日の中で、いつもならここで怒り出すはずの瞬間に、
怒らないように心掛けてみてください。
そのあとの状況は、必ず自分の希望通りに運ぶはずです。

怒る人々というのは、自分がまず怒った上で、
さらに人を怒らせようとしています。からだに悪いものを食べて
それを吐き、誰かに食べさせようとしているのと同じ状態なのです。
ですから、そんなものを拾って食べてはいけません。
まわりの人が怒って話しているのにつられて自分も怒るということは、
「腐ったものを食べた人が吐いたものを、拾って食べるようなものだ」
と肝に銘じておきましょう。けっして受け入れてはいけないのです。

« 本『ゆるす言葉』 | トップページ | 本『いちご同盟』 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/27590/36563281

この記事へのトラックバック一覧です: 本『怒らないこと』:

« 本『ゆるす言葉』 | トップページ | 本『いちご同盟』 »