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本『パブリック』

『パブリック 開かれたネットの価値を最大化せよ』
著 ジェフ・ジャービス
NHK出版

『グーグル的思考』の著者、というかデルのサービスに対し、
文句をブログに書いて有名になった“デル・ヘル”の
ジェフ・ジャービスによるパブリック論。
フェイスブック全盛の時代、自分の情報をネットに公開するのは
いいことなのか、人はどこまで情報を公開すべきか、
プライベートとパブリックの境はどこにあるのか、と問いかける。

ジェフ・ジャービス自身は、自分が前立腺癌であることを
ブログで公表しているぐらいなので、パブリック擁護派。
というより、プライバシー擁護派に対抗するために
この本は書かれているので、基本的にパブリックであることに前向きだ。
(プライバシーとパブリックは相反するものではないと著者は言う。)

私もこのブログで自分の病気について公開しているので、
(このブログでいちばん読まれているのはチョコ関係なのです。)
公開すること、シェアすることのメリットはわかっているつもり。
でも、それは同じ病気で悩んでいる人に読んでもらいたいだけで、
ちょっとした知り合いに話したいわけではない。
(親しい友人に知られるのはOKだけど、
会社の同僚レベルにはちょっと。)
だから、この話をFacebookに書こうとは思わない。

ザッカバーグのようにパブリックを全面的に肯定する気にも
まだなれず、かといってプライバシー擁護者のように
ネットをすべて怖いともいいきれない。
その境界を考えるにはいい本。
しかし、答えは私が出すよりも早く、ネットが決める気がしますけどね。
良かれ悪しかれ、世の中はどんどんパブリックになっていくのだ。

◆読書メモ

ザッカーバーグは、僕らがシェアすることを助ければ、
世界はよりパブリックな場所になり、より高い透明性や信頼、
そして責任感や誠実さが生まれると信じている。

友達申請をしてきた人がどんな人かを見たいと思っても、
友達になる前には相手の情報が開示されていないことも多い。
この議論になると、フェイスブックが基本的にはシェアの場だと
いうことが脇におかれることが少なくない。

「プライベートでいることがいいと思い込んでいる人もなかにはいる」
とザッカーバーグは言う。「そうじゃない、って僕らは言い続けてるんです。
人にはシェアしたいこともあれば、秘密にしたいこともある。
それはずっと変わらない。だけど、シェアすることに価値があると
思う人が増えれば、そのうちもっと多くを共有するようになるはずです」

ハンブルグでは、ストリートビューの車がやってくることを
事前に住民に告知することになった。

ドイツでは、アメリカの研究者が開発した、ストリートビューの画像から
人間だけを自動的に消去するソフトウェア―人間が消失し、
建物だけが残った原爆投下後の廃墟のような風景になる―
に関心が集まった(このソフトにはまだ改良が必要だった。
たまに飼い主のいない犬と首ひもが見られた)。

「私たちには知識を共有する文化がないのです」と彼は言う。
「あらゆる知識は、他人よりも優位に立つために
自分だけでもっておくのがいちばんだと考えるような、
反社会的な態度がドイツ人には身についています。」

パブリックな存在になることでのみ、人はこの世界に足跡を残せる。
政治思想家のハンア・アレントは、人間はパブリックでなければ、
森のなかで誰にも聞こえず倒れる木と同じだ、と言う。

フィンランドでは、採用候補者をグーグルで検索することは違法だ。

プライバシーは誰かの情報を受け取る人の選択をつかさどる倫理だ。
パブリックは情報を発信する自分自身の選択をつかさどる倫理と言える。
プライバシーとは「知る」倫理だ。
パブリックとは「シェアする」倫理だ。

僕はこうしたムーブメントを見ながら、デジタル民主主義が西洋で、
つまり民主主義とデジタル社会がより進んでいるこの場所で
先に起きるだろうという自分自身の思い込みを見直すことになった。
僕は間違っていた。
こうした進歩は、それがもっとも必要な場所で起きるのだ。
中東は、パブリックであることの意味を考え直す動きの
先頭に立つことになるかもしれない。

ハーバード・ロースクール・バークマンセンターの
ローレンス・レッシグ教授は、こうした質問に法律の考え方をあてはめる。
コードは法律だ、と彼は言う。
フェイスブックのコードが何を原則公開にするか、非公開にするかを決めれば、
それがユーザーとコミュニティの行動を支配する法律になる。

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