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本『ソーシャルゲームのすごい仕組み』

『ソーシャルゲームのすごい仕組み』
著 まつもとあつし
アスキー新書

なぜ、人々は今パッケージゲームではなくソーシャルゲームにハマるのか。
月に数万円をつぎ込むユーザーもめずらしくないという
モバゲーやGREEのソーシャルゲーム。
任天堂とソニーの家庭用ゲーム機シェア争い、
iPhone登場によるガラケーからスマホへのプラットフォーム展開、
『ドラクエ』、『FF』など壮大なRPGから物語性の分離、対戦・育成への変化
など、ゲームの歴史を俯瞰する。

また、問題になっている課金やガチャについて。
本書で紹介されている『アイドルマスターシンデレラガールズ
コンプガチャシミュレーター』をやってみたら、
私の場合、コンプまで10万円かかりました。
(シミュレーターだから本当に10万円かかるわけでもなく、
実際のゲームとは違う可能性もありますが。)

ソーシャルゲームの場合、ゲームをリリースしてからでも
ゲームバランスを改善してユーザーの離脱率を減らすことができる。
DeNAは、ソーシャルゲーム以前にeコマースやオークションを手がけており、
GREEにはコミュニティー運営やアイテム提供の経験があり、
ノウハウとして生かされているのでは、という指摘に納得。

ソーシャルゲームってシステムとしては簡単なものが多いので、
一度つくってしまえば、あとは楽なのではと勝手に思っていたのですが、
むしろユーザーを飽きさせないために定期的にイベントをしかけたり、
新しいアイテムを投入していかなければいけないのだなと。

モバゲーやGREEの話が中心なのに、
解説画面にジンガのCityVilleが引用されているのはやや違和感。
成長にかげりがあるとか、ガチャの問題提起はされているものの、
今後はどうなる?まで話が進んでいないのは残念。

◆読書メモ

初代ドラクエでは64キロバイト、つまり80枚分の容量しかないカセットROMに、
プログラムやグラフィック、そしてストーリーを表現するテキスト文字も
全て含めなければならないため、ギリギリの工夫が施されており、
たとえばカタカナで全ての要素を表示していたが、50音全てを使わないよう
アイテムや魔法の名前は限定されている。

「Fate/Zero」を手がけたシナリオライターの虚淵玄氏は、
2000年に設立されたパソコンゲームメーカーのニトロプラスに入社し、
アダルトゲームのシナリオを数多く手がけ、
そこから2011年社会現象とまでなったテレビアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」が
生み出されることになる。主人公が物語のなかで取る選択によって、
異なるストーリーが展開されることを作中で強調されたこの作品は、
極めてアドベンチャーゲーム的手法が色濃く表れたものだったといえる。

DeNA濱田晃一氏の資料のなかにはソーシャルゲームにおいて、
ゲームの進み具合は「経過時間(≠プレイ時間)」に依存するという
キーワードが登場する。
(略)ここでは、ソーシャルゲームでは待機時間が用意されていることによって、
プレイヤーにはストレスがかかる、というところを押さえておきたい。
どういうことか? 例として挙げられた「怪盗ロワイヤル」での
「手下の行動力の回復」をはじめ、ほとんどのソーシャルゲームでは
プレイヤーには必ず「待ち時間」が生じる。
PCブラウザでプレイする「CittyVille」ならば、農作物を育てたり、
他の街と交易を行う列車が戻ってくるまでに数分~数日間かかるように
設計されている。これは従来のシミュレーションゲームでは
スピードを速めたり遅くしたりできるゲーム内の時間とは異なり、
私たちが生活する実際の時間ベースで、だ。

この心理を「コンコルド錯誤」と呼ぶこともある。
実際に悲惨な事故を起こした超音速旅客機コンコルドは、
その開発中も困難が続き何度も計画中止が提案されたが、
「ここまで投資したのだから」という理由で、
莫大な開発費をかけ完成させてしまった
(最終的にコンコルドは商業的にも失敗に終わっている)。
カジノでのカードゲームやパチスロでもよく起こるそんな心理的な錯誤が、
ガチャを回すプレイヤーを熱くさせてしまうのだ。


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