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本『理系の子』

『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』
著 ジュディ・ダットン
文藝春秋

50ヵ国から1500人以上の高校生が参加し、
400万ドルを超える賞金と奨学金をめぐって競う
『インテル国際学生科学フェア(ISEF)』を追ったドキュメンタリー。

核融合炉を作った14歳の少年、ハンセン病の少女、
ホース・セラピーの研究をしている少女、
喘息で苦しむ妹のため、ラジエーターと炭酸飲料の空き缶から
部屋を暖めるヒーターを作った少年、
手話の代わりに文字を描く手袋を発明した少年など、
ISEF2009に参加した子供たちの勝敗の行方を追いつつ、
伝説となった優勝者たちのエピソードを紹介している。

サイエンスフェアは日本ではなじみがないけど、
アメリカでは各地で行われていて、映画だと
『ルイスと未来泥棒』などで描かれている。

地元のサイエンスフェアで優勝することによって、
さらに上の大会に出場できる。その最高峰がISEF。
彼らが何を研究して、何を発明したかというより、
彼らの研究に賭ける熱意がおもしろい。

こうした研究に出場できるだけあって、
多くは教育環境に恵まれた子供たちなのだが、
なかにはここで優勝して奨学金をもらえないと大学に行く夢が
閉ざされるという子供たちもいる。

第二のビル・ゲイツと呼ばれてるフィリップ・ストライクは
9.11によって多くの友人を失った両親がJ・P・モルガンを退職し、
10歳のときにアーミッシュの農場へと引っ越す。
地元の学校に満足できなかったので、母親が自宅学習をはじめ、
高校二年生でカーボンナノチューブの研究でサイエンスフェアに出場し、
ハーヴァードに進学し、10万ドル以上の奨学金を獲得、
特許をもとに会社を設立する、という輝かしい成功例だ。

後半ではフェアで子供たちが交流する様子や
授賞式の模様も描かれている。

サイエンスフェアにかける青春というテーマはものすごくおもしろいのだが、
残念ながらドキュメンタリーとしての描写はイマイチで、
彼らが何を研究しているのかがわかりにくい。
また、感動的なエピソードをつなげているだけという印象も残る。
(むしろ、巻末に掲載された日本からサイエンスフェアに出場した
女子高生の体験記が雰囲気をよく伝えている。)

原題は『Science Fair Season』。これはこれで素敵だが、
『理系の子』という邦題は秀逸。

◆読書メモ

ケリードラは幼稚園児のころからサイエンス・フェアで競っており、
まったくの理科オタクだった。やはり理科オタクのボーイフレンドと
電話で話すときには、ふざけてではあるが珍妙な口説き文句を
やりとりした。ぼくはきみの微分係数になりたいな。そうすれば、
きみの描く曲線に接線を引くことができるからね。
わたしは、あなたのヘリカーゼがいい。
あなたの遺伝子をほどいてしまうことができるものね。

空気力学的にみると、マルハナバチは空を飛ぶことが
できないのですが、マルハナバチはそんなことは知らない。
だから飛んでいるんです。
―メアリー・ケイ・アッシュ 化粧品ブランド<メアリー・ケイ>創設者

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