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本『図書館危機』

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『図書館危機』
著 有川浩
角川文庫

『図書館内乱』が政治的駆け引きだったので、物足りなく感じていたのだが、
ここにきて言葉狩りと銃撃戦で「戦争」っぽくなりました。
しかし、郁と堂上に加え、小牧と毬江、玄田と折口、手塚と柴崎まで、
ラブコメ度がアップして、やや疲れます。

本『挑まなければ、得られない』

『挑まなければ、得られない』
著 及川卓也
インプレスジャパン

グーグルでウェブ技術開発チームのマネージャーを務める
及川氏のブログを書籍化。書籍化にあたり、追記もされている。

著者の名前はなんとなく聞いたことがある程度だったのだが、
中には読んだことのある文章もあったので、ブログとしては
何度も拝見しているのだろう。
佐々木俊尚氏が序文を書いているが『2011年新聞・テレビ消滅』で紹介された
「コンテンツ・コンテナ・コンベア」ももともとは及川氏の概念だという。
この話が出てくる「ネット時代のメディア戦略」は必読。

頭の回転の速い人がする話はおもしろいという感じで、
ネットに対する考え方など、参考になる。

東日本大震災における「Hack for Japan」の活動については
ドキュメンタリーっぽく紹介されているのだが、
正直、本人が中の人だということもあり、熱意は伝わってくるが、
何をどういう風に進めた活動なのかはいまいちわからない。
かっこいいプレゼンを作って自分たちで感動した話を
聞かされてもなーという印象。

しかし、DEC、マイクロソフト、グーグルと渡り歩いた
エンジニア視点としていろいろ興味深い。


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本『図書館内乱』

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『図書館内乱』
著 有川浩
角川文庫

言論の自由を守るとか政府組織による検閲とか
重い設定の上に乗っかってるのが
職場内ラブコメというのが不思議なバランス。

よくあるパターンを上手に踏襲してるのだが、
ベタなキャラが立っていて、
作者があとがきで書いているように、
勝手にキャラが動くだろうなと。
手塚、柴崎の巻でしたね。

そのぶん、たんに小牧を査問に引っ張りたかっただけみたいな感じで、
個々の事件に説得力が弱いのは残念。


本『図書館戦争』

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『図書館戦争』
著 有川浩
角川文庫

設定は丁寧に作り込まれているのだが、
本を守るために武装するという世界観がどうも腑に落ちない。
燃える本は絵になるけど、銃と本って合わない。

ラブコメとしては、コンセプトである月9よりもずっとときめく出来。
2人の今後が気になりますが、個人的には手塚くんの方が好み。

本『インクジェット時代がきた!』


『インクジェット時代がきた!
液晶テレビも骨も作れる脅威の技術』

著 山口修一、山路達也
光文社新書

インクジェット技術の仕組みと最先端の活用法を紹介。
インクジェットプリンターというと思い浮かぶのは写真印刷だが、
ケーキなどの食品や布地(デジタル捺染)、家の壁にまで印刷できる。
3Dプリンターなら、工業製品のプロトタイプ、立体地図、
精巧なフィギュアも印刷して作ることができる。
また、液晶テレビの配向膜やカラーフィルターにも
インクジェット技術が使われており、細胞の作成も研究されている。

インクジェットプリンターがどうやってインクを吐出しているのか、
基本的な仕組みさえ今まで知らなかった。
この本では、さらにインクジェット技術によって、1点物を安く作成でき、
リソース最適化されたものづくりを促進するとしている。
ここらへんは今後を見ないとわからないところだが、
インクジェットってプリンターだけじゃないよ、
ということがわかるだけでもおもしろい本。

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本『インサイド・アップル』

『インサイド・アップル』
著 アダム・ラシンスキー
早川書房

秘密主義で知られるアップルの経営システムとは、
ジョブズの後を継ぐのは誰なのか、意思決定はどうなっている?
組織図は? などなど内幕に迫った一冊。

付箋貼りすぎて、途中でなくなってしまうくらいにおもしろかった。
アップルの秘密主義自体は今でも徹底されているので、
元幹部や社員、関係者に取材して書かれているのだが、
ここまで内部に迫った本はなかったはず。

秘密主義は外部だけでなく、内部にも徹底されており、
プロジェクトによっては工事を行ない、壁やドアを作り、
窓を磨りガラスにし、セキュリティバッジがないと入れなくなる。

iMovieのマーケティングに使用する結婚式のビデオを
ジョブズが気に入らず、撮り直した話とか徹底ぶりがすごい。

 「ビーチの結婚式がいいと言われたの。ハワイとか、
 そういう南国のロケーションで」。ギーニは言う。
 「ビーチで予定されている結婚式を探して、ビデオに撮って編集し、
 スティーブの承認を得るまでに数週間しかなかった。
 ぎりぎりの日程だったから、失敗はぜったいに許されなかったわ」

チームはマウイ島で式を挙げる美男美女の新郎新婦を探しだし、
クリエイティブ・ディレクター率いる撮影班がハワイに飛び、
前日に浜辺で夕日を位置をチェックしている。

ジョブズやアップルについて書かれたものはほとんどが情報不足で、
『iCon』もしくは、スタンフォード大学のスピーチからの引用で、
製品がいかにすばらしいか、ジョブズがいかに先見の明があったか、
称賛しているものが多い。
読む方はどうやって「すばらしさ」が作り出されているのか知りたいのに。
たいていの著者は“現実歪曲フィールド”にはまっていて、
アップルが言っているのと同じ言葉をくり返しているだけなのだ。
その点、著者はアップル信者ではないので、冷静に客観的に書かれていて、
やはりアップル信者ではない私にも読みやすい。

 「いまある教訓で、これからも役立つものをあげろと言われれば、
 いちばんすぐれたメッセージの伝え方は、明確、簡潔、反復
 ということです」。アップル退職後、シリコンバレーのオーパス・キャピタルで
 ベンチャーキャピタリストになったボーチャーズは、そう振り返る。
 「メッセージはだんだん飽きるものです。20回も説明会を開くと、
 毎回まったく同じように聞こえる。でも、じつはそれこそが望ましい。
 説明会に参加する人は初めてその説明を聞くんですからね。
 まずいのは、飽きたために説明がごちゃごちゃになってしまうこと。
 だから、同じことばをくり返し使うことが大事なんです。
 そうすれば消費者の耳には同じことばが届き、
 彼らが友だちに製品を説明するときにも同じことばを使うようになる」

ジョブズの後継者候補としては現CEOのティム・クック、
ジョナサン・アイブ、スコット・フォーストールの3人をあげている。
そして、誰もが思う「ジョブズ亡き後もアップルは維持できるのか?」
という疑問に対し、著者はノーと言っている。
アップルの独自のシステム、秘密主義で、細部にこだわり、
すべてをコントロールし、シンプルで力強い基調講演などは
ジョブズという存在があったから成り立った。
これをそのまま引き継ぐことはできず、
アップルは新しい組織へと変化しなければならないだろうとしている。
(ジョブズが築き上げたものは強固なので、
しばらくはこのままでもいけるとも予想してますが。)

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本『小さなチーム、大きな仕事』

『小さなチーム、大きな仕事』
著 ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
ハヤカワ新書juice

2010年に出た本だけど、いつか読もうととっておいたら、
今ごろになりました。
好評な売れ行きだったようで、2012年に完全版が出ています。

新刊が出ていないハヤカワ新書ですが、
あいかわらず執筆陣が豪華。
デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンはRuby on Railsを作った
プログラマー。

37シグナルズは『ベースキャンプ』、『バックパック』、
『キャンプファイアー』などのウェブサービスを手がける企業で、
この本の出版時点で従業員は16名、社員はシカゴのほか、
スペイン、カナダ、アイダホなど、8つの都市に散らばっている。

小さな会社には小さな会社なりの戦い方があり、
そのビジネスのヒントを書いたのが本書。
誰もがまねできるわけではないが、耳の痛い話も多い。

「仕事依存症患者は重要な点を見逃している。
彼らは時間を投入することで、問題を解決しようとする。
よく考えることをせず、力技で埋め合わせようとする。
これは見苦しい解決につながるだけだ。
彼らは危機すら生み出す。彼らは好きで働きすぎているので、
効率的な方法を探さない。ヒーロー感覚を楽しんでいるのだ。
たくさん働くと興奮するというだけで問題を作り出す。」

自分の働き方を見つめなおしたいときに。

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本『インターネットは民主主義の敵か』

『インターネットは民主主義の敵か』
著 キャス・サンスティーン
毎日新聞社

アメリカで発売されたのが2001年、日本版が2003年なので、
もう10年以上前の本だが『閉じこもるインターネット』で思い出したので
引っ張り出してきました。

インターネット論や検索エンジンが与えた社会的影響といったときに
必ず取り上げられるのが、この本。
つまりは、ネットのフィルタリングは、同じ意見の人どうしが集まり、
孤立化し、自分とは反対の論を見なくなることを助長し、
サイバー・カスケードを生むというのが主論。
最初に聞いたときは、ネットに否定的な人の心配しすぎな論じゃないかと
思ったのだが、以下、ちょっと引用。

「第一の問題点は分裂、つまり言論によって多様の集団が成立することだ。
情報通信の選択が集団ごとに違うわけだ。その結果のひとつとして、
相互理解が難しくなると考えられる。社会が分裂すると、過激主義や憎悪、
そして暴力までも引き起こしかねないグループの二極化が進むことになる。
もちろんインターネット等の新テクノロジーのおかげで、
自身の声の反響を聞いたり、自らを隔離する能力が劇的に高まっている。
重大な結果のひとつにサイバー・カスケードがある。
ある特定の事実あるいは見解が、多数の人が信じていそうだという理由だけで、
広くゆきわたる情報交換のプロセスのことだ。」

「明白なのは、大小含めて多くの社会的グループは
驚くほど素早く特定の信念または行動へと飛びつくことだ。
この種のカスケードは情報の伝達を伴うが、
実際には情報が牽引車になっている。ほとんどの人は、重大な事柄について
直接の、あるいは本当に確かな情報を持ち合わせていない。」


これは現在、まさに起こっていることじゃないだろうか。
2001年と今で大きく違うのは、検索によるフィルタリングがより強力になったこと。
(GoogleがYahoo!に採用されるのが2000年なのだが、
この本にはグーグルの名前は出てこない。)
そして、対抗手段になるはずの新聞や雑誌などの影響力が落ちたこと。
(過激な思想のネットグループとして仮想の「ボストン・ティー・パーティ」が
登場するのはちょっと笑える。ティーパーティ運動が始まったのは2009年。)

私たちは現在、あふれるほどの情報に囲まれているはずだが、
受け止めているのはほんの一部だ。
ニュースにしたって、RSSやTwitterの見出しだけ見て判断していることが多い。
はたしてこれでいいのだろうか、というのが最近の私の関心事であります。


(著者は防衛手段として、自分と異なる意見のリンクを義務づけるとか
政府による公共的な議論の場所を提案しているが、
現実性にとぼしく、実際、10年後に効力を発揮していない。
ついでに付け加えると、元々、硬い文章だったのか、訳が悪いのか、
非常に文章が読みにくい。
政府による規制の部分は正直、理解できなかったです。)

関連本:
『閉じこもるインターネット』
『ネット検索革命』
『グーグル革命の衝撃』

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