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本『トムは真夜中の庭で』

『トムは真夜中の庭で』
著 フィリパ・ピアス
訳 高杉一郎
岩波書店

児童文学再読2冊目は『トムは真夜中の庭で』。
私の永遠のジュブナイルは『冒険者たち』なんだけど、
小学生のときに斎藤惇夫さんにファンレターを出して、
返事にお勧めの本として紹介されていたのがこれ。
子供のときにこの本を読んでいたよかったと思う一冊。

トムが毎晩入っていく庭園のノスタルジックな美しさ、
時間SF的な構成をつかって「二度とは帰ってこない過去」を描くうまさ。
子供の頃は大きくなってしまったハティが悲しかったけど、
今読むと、ハティ側の心情も理解できる。

◆読書メモ

「ときどき、わたしはそのガラスがいちばんすきになるの。」
と、ハティがいった。「のぞいてもなんにも見えないから、
庭園がないんじゃないかと思うでしょ。だけど、庭園は
いつでもちゃんとあって、わたしを待っててくれるんですもの。」

あとになると、おじさんはトムに、風景のなかに立って風景を
えがいている画家を想像しろといった。そこへ、第二の画家がやってきて、
おなじ風景を、第一の画家の風景画もなかにおさめてかくんだ。
さらにそこへ第三の画家がやってきて、おなじ風景を、
第一の画家の風景画がなかにおさまっている第二の画家の風景画を
なかにおさめてかくんだ。そこへまた第四の画家がやってくる……

ふたりは、それまでの十分間を利用して、大聖堂のなかを見物して歩いた。
聖母礼拝堂のなかから出てきたとき、トムは石に文字をきざんである
碑銘のまえで立ちどまった。それは、一八一二年十月十五日、
七十二歳で、「時間」と「永遠」とをとりかえたこの町の紳士ロビンソン氏
という人の記念碑だった。

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