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本『リプレイ』

『リプレイ』
著 ケン・グリムウッド
新潮文庫

超今さら感がありますが、ループものの元祖『リプレイ』。
タイムループものは『リプレイ』(1988年)の前にも
SF小説にはよくある構成だったと思うし、
『ターン』とか『リピート』とか『リプレイ』を意識したものも多い。
映画なら『恋はデジャヴ』という傑作があるし、
『時をかける少女』だってループものだし、
最近だと『ミッション: 8ミニッツ』は同じ8分間を何度も経験する話。

ゲームでいうと、特にエロゲーは女の子が10人出てきたら
10回パターンをくり返さないといけないわけで、
それを意識的にゲームシステムに組み込んだのが
『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』で、
ストーリーとして展開させたのが『ひぐらし』かなと。
バッドエンドをくり返すことで真実にたどりつくという意味で
『魔法少女まどか☆マギカ』はエロゲー的だなと。

『リプレイ』が特徴的なのは周期が25年と長く
ほとんど人生もう1回やり直すようなもの。
最初は賭博で手軽に金持ちになってみて、
次は堅実な人生を送ってみて、
自棄になって孤独に引きこもってみたり、
リンダにジュディにシャーラにパメラ、
そのたびに女が違うのもおもしろい。

細田守監督が『時をかける少女』について
「青春には後悔がつきまとう」ということを言っていたけど、
「次こそはもっとうまくやってみせる」という後悔が
ループをくり返す。
『恋はデジャヴ』が典型的だけど、ループの結果、
人がたどりつくのは「かけがえのない1日1日がとても大切だ」ということ。
『リプレイ』はそういう意味でもやはりループものの代表作だと思う。

作者のケン・グリムウッドは2003年に
心臓発作で亡くなっているんですね。
なんだか彼自身がリプレイヤーで、
この人生では自分の経験を小説に書いて
作家になることを選択したみたいに思えます。

◆読書メモ

ジェフにとっては、彼女がまだ十代だという事実を超えて、
その信じられないほどの若さ、春のようにはつらつとした優しさしか、
目に入らなかった。八〇年代のこの年頃の娘たち―女たち―は、
このようには見えない、と彼は思った。とにかく、彼女らはこんなに
若くないし、こんなに純真ではない。ジャニス・ジョプリンの時代以来
そうでなくなったし、また、マドンナ以後は確かにそうではない。

「“お前も私も、アルジュナよ”」彼女は容易に引用した。
「“多くの人生を生きてきた。私はその全てを覚えている。
だが、お前は覚えていない”」

日光が消える直前に、彼は彼女の耳に何かささやいた。
それはブレイクの詩の一節だった。
「一粒の砂に世界を見、一輪の野の花に天国を見る」
彼女は自分の手を彼の手にしっかりと重ねて、
その引用を静かに完成させた。
「君の掌に無限を、そして一時間に永遠をつかみたまえ」

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