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本『夢を与える』

『夢を与える』
著 綿矢りさ
河出文庫

実は綿矢りさ、ちゃんと読むのは初めて。
『インストール』の映画は見たけど、
そこで語られるナレーション(上戸彩主演でしたね)が
小説の文体なら、多感な少女の視点から見た世界ってのが
どうも合わなくて(映画作ってるのはおじさんたちだし)
今まで敬遠してました。

カバーのプロフィールを見てまず驚く。
「1984年生まれ」って、今、綿矢りさ29歳!?
デビューしたとき高校生だったよなーと遠い目。

『夢を与える』は2007年の作品なので、23歳と考えると
まあ、それくらいのイメージかなと。
チャイドルとかアイドルのスキャンダルといった筋は目新しいものじゃないけど、
6年前に書かれたことを考えると、先見の明がある気がします。
最初から転落することはわかっているので(帯にも書かれてるし)
それがいったいどこから始まるのか、といった意地悪な期待で読み進めました。

恋に落ちた女の子の脆さとか、エロさの描写は単純ながら、
すんなり共感できる。
もともと性的なものをストレートに書いてきた人なんだろうなと
(『インストール』を読んでもいないくせに)勝手に推測。

綿矢りさが文壇アイドルだったことを思うと、
本人が否定しようとも、世間に顔を知られていて
絶対にスキャンダルを起こせないまま、
純粋な少女像を求められ続けた主人公とダブる。
その崩壊も彼女自身が望んでいたことなんだろうなと
また勝手に推測。

ほかの綿矢りさ作品も読んでみたいです。

◆読書メモ

しかし大したものを持ってないのに肌をけちる女たちよりも、
彼女たちの肌は公共物としての健やかさ、人の視線に耐えられる強さがあった。

日常会話というのはすごい。
さすが十年以上もの月日をかけて作られてきたものだけあって、
ちょっとやそっとではくつがえらない。
日常会話は会話する者どうしの"日常を保ちたい"という強い思いさえあれば、
たとえ目の前に死体があっても、それを消し去ってしまうのではないか。

高校の女子たちが校内で彼氏や好きな男子といっしょに歩いているとき、
男子の後ろを恥ずかしそうによちよちした歩き方でついていったり、
上目遣いでペコちゃん人形みたいに頭をゆらゆら動かしながら
高い声で甘えるように男子と話をしたり、別れるときに"ばいばぁい"と
頭の横で手首を回すようにしながら手を振ったりしていたのが、
ギャルズクラブのお姉さんたちの男への接し方を知ったあとでは、
あまりにも稚拙に見えた。しかし恋を知った今はまさにあの女子たちと
同じ動作をして正晃に媚びていた。やってしまう、本能的に。

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