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本『絵本を抱えて 部屋のすみへ』

絵本を抱えて部屋のすみへ (新潮文庫)

『絵本を抱えて 部屋のすみへ』
江國香織
新潮文庫

<読書メモ>

無論こういうのはきわめて個人的なことだ。
でも、読書というのはもともとおそろしく個人的な行為であり、
だからこそ隠微な愉しみなのだと思う。

これはたとえばミルンの『クマのプーさん』などにもいえることだけれど、
彼らはみんな一人で住んでいる。監督者不在の物語空間なのだ。
みんな自分の考えと感覚と、わずかばかりの経験と創意工夫とで、
それぞれの人生を豊かに渡りあるいていく。

彼らがみんな一人ぼっちで生きている、というそのことが、
物語をたしかなものにしていると思う。

コメントの欄に、「人生が幸福なものに思えるから」と書き、
書いた途端に気がついた。それが子供の本の基本なのだ。

幸福といっても、たとえば『シンデレラ』のような、
「幸福な結末」のことではない。プロセスの話だ。
ザルテンの『バンビ』にこういう一文がある。
「バンビは穴から出ました。生きることは美しいことでした」


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