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本『重力ピエロ』

重力ピエロ (新潮文庫)

『重力ピエロ』
伊坂幸太郎
新潮文庫

初伊坂幸太郎。
伊坂ファンに「最初に読むなら何がよいか」と聞いたら、
「無難に『重力ピエロ』あたりでどうでしょう」とのことで『重力ピエロ』。


いや、おもしろかった!
なにより兄弟、そして父親と交わす会話がいい。知性とユーモアとテンポの良さ。
冗談めかした会話から家族の強い絆が伝わってくる。

「俺の息子たちには、この病室に花を置く発想がなかったからな」
「そういう繊細さを、親から教えてもらえなかったんだ」
「親の顔が見たいな」

伊坂ファンが「映画版のキャスティングで読んでしまう」というように、
岡田将生くんの繊細な顔は春のイメージにぴったり。

お兄さんの加瀬亮は私のイメージより繊細すぎるけれど、
お母さんが鈴木京香なのも納得。競馬シーンは彼女のイメージで読みました。

<読書メモ>

「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」

春がまともに就職もせず、不安定な生活をしていることを、
父はそれほど不満には思っていないようだった。
「人生というのは川みたいなものだから、何をやっていようと流されていくんだ」
と言ったこともある。
「安定とか不安定なんていうのは、大きな川の流れの中では些細なことなんだ。
向かっていく方向に大差がないのなら、好きにすればいい」


「地味で、退屈な事柄にこそ、神様は棲んでるんだ」

「俺はゴダールが好きだよ」
「びっくりするくらい退屈で、びっくりするくらい美しい映画をつくる、天才だ」

「人の外見は、ファッションの銘柄と同じだ」と春はよく言う。
「ブランド品は高いけれど、その分、品質が良い。その逆もある。
とんでもない品物にブランド名をくっつけて、客を騙すこともできる。
人の外見も一緒でさ、人は目に見えるもので簡単に騙される。
一番大事なものは目に見えない、という基本を忘れているんだ」


無邪気に、「さようなら」と言っている子供たちは可愛らしかった。
気軽に、「さようなら」が言えるのは、別れのつらさを知らない者の特権だ、と私は思う。

 

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