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本『月は無慈悲な夜の女王』

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

『月は無慈悲な夜の女王』
ロバート・A・ハインライン
矢野徹 訳
ハヤカワ文庫

『夏への扉』が有名なハインラインの代表作。
『夏への扉』が「結局君はその幼い少女が美しく成長するのを待ってたんだよねっ」
という感じのタイムトラベル・ロマンスなので、本作も甘め路線かと思っていたら
月の独立をかけた革命というバリバリのSF超大作でした。


1965年の作品で、月と地球の対立には冷戦時代の雰囲気や
人種差別に対する皮肉を感じますが、電話線を使ったコンピューターとの通信網や、
自我をもったAI、世界の中で中国が大きな決定権をもっているあたりは
1965年とは思えないほど予言的な設定です。


原題は『The Moon Is a Harsh Mistress』。
「ミストレス」を「夜の女王」と訳す邦題にしびれます。

(ここらへんのSF邦題はほんとかっこいい)

私は「無慈悲な」部分が気になって自意識をもったコンピューター、マイクが
どこかで人類を裏切るんじゃないかとドキドキしながら読みましたが、
この作品の中でまちがいなく一番魅力的なキャラクターがマイクで、
ラストのほうの彼のセリフには泣きました。


「マン、この人は馬鹿じゃなしですか」

<読書メモ>

「革命は大衆を同志にすることで克ち取られはしないのだよ。
革命は、ごく少数の人々が実行することのできる科学なのです。」


「おれの祖母のひとりはアジアの一部から来たんだが、
そこはイナゴのように定期的に侵入した連中が通るところで、
そいつらは通ってゆくたびに強姦していったのだ」


「でもなぜ旗を? 月世界中どこにも旗竿などありませんよ」
「それはわしらの心の中ではためくのさ……戦って司会議事堂が得られると思うような
驚くべき非現実的なすべての馬鹿者の象徴にな。」


「それに加えて、こんどのかれらには婦人補助部隊をつけます、
標準の十パーセントで……これで強姦の不平は出なくなるでしょう。」


「タージ・マハルを見られなかったからという意味だよ。」
「ただの墓でしょう」
「それならトロイのヘレンもただの女さ。」

「マン、これが終わったら、きみはぼくに時間を割いて
またあのユーモアの研究をやってくれるかい?」

 

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