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本『富士日記 上』

富士日記(上) 新版 (中公文庫 (た15-10))

『富士日記 上』
武田百合子
中公文庫

年末年始、富士が見えるところに行くのだからと、
『富士日記』に手を出してみました。
勝手にお洒落なおばさまのお洒落な日記だと思っていたら、
なんとも豪快な女性の元気な日記で楽しく読みました。

自衛隊に向かって「バカ」と言い、ご主人の武田泰淳にたしなめられ、
口の悪い若者たちに言い返して、娘に「あんなことやめてね」と言われ、
テヘペロしてる感じの百合子さんがかわいいです。

私は乗物酔いしやすいこともあり、車の運転にまったく興味がないんですが、
車がないと暮らしていけない富士の山荘で、買い出しに出たり、
原稿を出しに行ったり、湖に泳ぎに行ったり、
フットワーク軽く運転している百合子さんを見ると、
運転できるというのも悪くないのかもという気がします。
(武田泰淳が運転を妻に完全にまかせているのもまた。
「桜を見に行こう」とか「明日東京に帰る」とか
さらっと決めて運転は百合子さんという。)

昭和三十九年八月十七日の日記に
「今朝、佐田啓二が蓼科の別荘からの帰り、韮崎で交通事故死。」
とあったので、母に聞いてみたら、
地元の人は「当時、事故現場まで見に行った」と言っていたとか。
「佐田啓二ひとりが亡くなったのよね」とよく覚えている。

日記なので急がずタラタラと読んでいこうと思います。


<読書メモ>

主人、鱒の木彫も買おうとする。大反対して買わなくした。
それは紅鱒と大きさ形も全部そっくりで、
ただ、木で出来ているというだけなので何となく馬鹿らしいのだ。
紅鱒を買った方がいいのだ。

今日二リットル買った不凍液は、特別上等で
「網走刑務所と自衛隊が使っている絶対凍らない高級品だ」
とスタンドのおじさんの話。

門の石垣に佇って、高原一帯と下の部落をみわたす。
ラッパを吹きたいほどの素晴らしい雪景色だ。

一月一日 快晴
八時半起きる。
南アルプス全部見える。はっきり見える。富士山も全部見える。いいお天気だ。

うぐいすは啼き方が上手になってしまった。

暮れ方のサクラは一番きれいだ。何度も視てやる。これはみんな私のものである。

「いいや。おらがわるかっただ。外川さんにいわれただ。
『お前ら、何のために婦人会で花や茶なんど習っているだ。
華道や茶道ちゅうもんは、そういうことをしねえ人間になるためにやるだぞ』
そう外川さんにいわれただ」と言う。

ゴルフ場の横を通ると、雨が降っているのに、
キャディを連れてゴルフをやっている人がある。キチガイみたい。

待っている間I夫人と話をしていなければならず、私は丁寧な言葉をつかったり、
心にもないことを言ったりして、ガス中毒したように疲れた。

帰る車の中で花子は「フロントの人は眼が大きいといったのではなくて
『眼玉(めんたま)の大きい人』と本当はいったらしいよ。
Iさんが私にそういった」と言う。不愉快。

雨が降るたびに、どっと年をとるように秋へとなってゆく。

東大生はボートに乗るときも眼がねをかけ、泳ぐときも眼がねをかけている。
ボートには、アンネ、さゆりというような、いやったらしい名前がついている。


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